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個性をぶつけ合うからこそ輝く!アンサンブルが教えてくれた「友情」の育て方【吹奏楽にかける日々・第1部⑪】

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音楽室でアンサンブル練習をする中学生たち
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毎年8月の吹奏楽コンクールが終わると、3年生は受験に向けて引退し、部の運営は1・2年生へとバトンタッチされます。大きな目標に向かって全員で突き進んだ「合奏」という大きな船から、今度は5〜6人の「アンサンブル」という小さな船へと乗り換える、秋の独特の空気感。

当時、私の赴任していた地域は小学校時代の転入生が多く、生徒同士の付き合いも浅いため、人間関係が少し難しい環境にありました。しかし、だからこそ、音楽を通じて本音でぶつかり合うことに深い意味があったのです。今回は、小さな摩擦を乗り越えて子どもたちが育んだ「本物の友情」について、当時の温かい眼差しとともに振り返ります。

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目次

1. 大人数の「合奏」から、一人ひとりが主役の「アンサンブル」へ

部内コンテストのトロフィーを前に真剣な表情の部員たち

新体制のスタートと部内コンテストの導入

3年生が抜けた後の1・2年生だけの練習は、どうしても他力本願になりがちで、100%真剣に取り組めない気の緩みが出やすくなります。そこで私の学校では、毎年この時期から「ソロ(独奏)」と、全員を5〜6人のグループに分けた「アンサンブル(重奏)」の練習に取り組ませることにしました。

2学期の終わりには講師や先輩たちを招いて部内コンテストを開催します。木管・金管・打楽器のソロ部門とアンサンブル部門に分け、各部門の1位には小さいながらも立派なトロフィーが1年間預けられます。30人、40人の合奏とは違い、数人での演奏は一瞬たりとも気を抜けません。トロフィーを巡る子どもたちの眼差しは、真剣そのものでした。

音楽室を飛び出し、工夫して重ねる練習の日々

夜遅くまで続くアンサンブル練習

曲目は、やさしい練習曲から「メヌエット」(組曲「アルルの女より」)や「クラリネットポルカ」などの名曲まで様々です。しかし、いざ練習となると大きな壁にぶつかります。音楽室にはピアノが1台しかありません。日曜日の練習日には体育館のステージのピアノを使ったり、誰かの家へ出かけたりと、練習場所の確保に苦労しました。

アンサンブルとなると、部活動の時間だけでは満足できず、家に帰ってからも集まって練習するようになります。賑やかで自発的な、まさに青春の1コマです。

「1年間いろいろの行事に取り組んだけど、3学期に入ってのアンサンブルコンテストはいつもと違った。メンバーもNさん、Tさん、Sさん、Oさん、私の5人で、一人一人の負担がとても大きく、まじめに取り組んだ。曲はアイネクライネ・ナハト・ムジーク(モーツァルト作曲)。あまり強弱がつかない曲なのでやりづらかった。毎日5人が集まって、夜の9時ごろまで練習をした。」(徳子さんの作文より)

2. 個性のぶつかり合いを乗り越えて――小さなグループが起こした奇跡

個性のぶつかり合いと葛藤

誰と組む?ぶつかり合いは成長へのステップ

アンサンブルでグループを作るとなると、音楽的な問題よりも「誰と組むか」が子どもたちにとって最重要課題になります。自己主張が強い半面、責任ある行動がまだ難しい中学生の時期。グループ同士の対立など、不愉快な現象が部内に持ち込まれることもありました。

しかし、お互いの本音が出るのは健全な証拠です。「もう嫌だ!」と投げ出しそうになりながらも、コンテスト直前には不思議と心が一つになっていくのです。

「私が今までに一番印象に残ったことは、やっぱりアンサンブルの事です。最初のうちはグループができてもうまくいかなかったし、『もういや』と投げ出したことや、曲がなかなか決まらないので、また問題が起きるなど、色々とありました。ようやく曲が決まって、いざ練習になるとみんなバラバラ。本当にこれでできるのかなど心配でした。みんながそろうようになったのは、コンテストのちょっと前。結果は優良賞でしたが、これで良かったと思います。」(美和子さんの作文より)

「Aちゃん、最近明るくなったと思えへん?」

ミキさん(当時の教え子)
先生、Aちゃん最近とても明るくなったと思えへん?
サトルくん(当時の教え子)
ぶつかり合ったからこそ、本当の友達になれたんやな。

葛藤をくぐり抜けたからこそ生まれた、他者を認め合う優しい言葉。深刻に悩みすぎず、大らかに見守ることで、子どもたちは自ら答えを見つけ、笑顔を取り戻していきました。

3. 【教育者の視点】音楽が育む「人間関係」と本物のふれあい

演奏後に笑顔で語り合う部員たち
教育者・加藤 凌の視点:アンサンブルは「人間関係を学ぶ最高の教室」

アンサンブルの取り組みは、もちろん音楽的・技術的なレベルアップにつながります。しかしそれ以上に、グループでの練習を通した「人間同士のふれあい」こそが最大の収穫でした。

個性のぶつかり合いの中で、子どもたちは次第に磨かれ、友達の良さや大切さを肌で学んでいきます。ぶつかり合うことを恐れず、個性を認め合うことで、子どもたちの心はピカピカに輝き始めるのです。

現代の人間関係に悩む学生や親御さん、そして教育関係者の皆様へ。子どもたちがぶつかることは、決して悪いことではありません。その摩擦の先には必ず、明るい未来と本物の友情が待っています。音楽の力が、その背中をそっと押してくれるはずです。

次回は、いよいよマーチング・ドリルへの挑戦。練習の成果を存分に発揮した感動のステージをお届けします。お楽しみに!

連載「吹奏楽にかける日々」は、子どもたちの瑞々しい成長と音楽教育の現場のリアルを、これからもあたたかく丁寧にたどっていきます。

サイト運営者からのメッセージ
加藤 凌

この記事を書いたのは…教職歴36年・82歳の元校長です

日々の最新トレンドから、82年の人生経験と知見を詰め込んだ「人生航海のログブック」まで、独自の視点で毎日発信しています。かつての教え子の皆様や、同世代の方々とここで再び繋がれることを楽しみにしています。

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アマチュア無線 ja3cgz

82歳、現役。目に見えない電波で世界と繋がっています

流行の話題を追う傍ら、私の本当の情熱は「アマチュア無線」にあります。昭和から令和まで、世界中の仲間と語り合ってきた軌跡と、男のロマンが詰まった無線室(シャック)へぜひ遊びに来てください。

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