東京オリンピックが話題に上がってきていますが、それとともに東京パラリンピックにも注目が集まっています。
年々パラリンピックへの注目度が高まってきていて、競技を目にしたことがあるひとも多いはず。
ですが、パラリンピックがどのようなもので、どのようにして競技が開催されているか理解している人は少ないと思います。
今回は、そんなパラリンピックについて、競技に大事となってくるクラス分け、さらには問題点や楽しみ方を紹介します。
パラリンピックとは?
パラリンピックは、身体障害者(肢体不自由)、脳性麻痺、視覚障がい、知的障がいを対象とした障害者スポーツの総合競技大会となっています。
オリンピックの終了後に同じ会場で行われます。
年々注目度を高めているパラリンピックですが、障害を持った方が出場しているということで、障害の程度によっては不公平が起こってしまうのではないかと思いますよね。
そんなことが起こらないようにパラリンピックには、クラス分けというものがあります。
パラリンピックのクラス分けとは?
パラリンピックで行われるクラス分けとはどのようなものでしょうか?
障がいには、さまざまな種類や程度があるので、それが競技結果に影響しないように、同程度の障害で競技グループを作ることをクラス分けと言います。
クラス分けの目的や手順は?
参加が認められている種類や程度の障害か確認して、公平に競い合うためのグループを形成するためにクラス分けは行われます。
スポーツごとに必要とされる身体機能や技術が違うため、クラス分けの規則も競技ごとに違うんです。
国際パラリンピック委員会が定めている「国際クラス分け基準」に準じて、各国際競技連盟、国際障害者団体によってクラス分け規則が定められています。
出場前に、クラシファイヤーと呼ばれるクラス分け専門の人にクラスを決めてもらう必要があります。
どのような障害の方が参加している?
出場される選手の障害にはどのような種類があるのでしょうか。
今回は、陸上競技に出場する選手の障害を紹介します。
筋 緊 張 亢 進 | 運動麻痺の一つ。筋肉に常に力が入 っていて、コントロールが難しい状 態。力を抜くことが非常に困難 | 脳性麻痺、脳卒中、後天性脳損 傷、多発性硬化症 |
運 動 失 調 | 運動麻痺の一つ。運動の協調が難し く、動作を円滑に行うことが困難と なる状態。 | 脳性麻痺、脳損傷から生じる運動 失調、フリードライヒ運動失調 症、多発性硬化症、脊髄小脳失調 |
ア テ ト ー ゼ | 運動麻痺の一つ。筋肉のコントロー ルが困難で、本人の意思とは無関係 に常に体の一部が動いてしまう状態 | 脳性麻痺、脳卒中、脳外傷 |
四 肢 欠 損 | 生まれつき、または事故や病気によ って手足の一部または全てを失った 状態 | 外傷もしくは先天性四肢欠損(奇 形)による切断 |
他動関節可動域制限 | 関節の動きが制限され、正常に曲げ 伸ばしができない状態 | 関節拘縮、強直、火傷後関節拘縮 |
筋 力 低 下 | 手足や腹筋背筋などの筋力が低下し た状態 | 脊髄損傷、筋ジストロフィー、腕 神経叢損傷、エルブ麻痺、ポリ オ、二分脊椎症、ギランバレー症 候群 |
脚 長 差 | 左右の足の長さが異なっている状態 | 先天的もしくは外傷による片下肢 における骨短縮 |
低 身 長 | 疾患などにより身長の発育に制限が あり身長が低い状態 | 軟骨異形成、軟骨発育不全症、軟 骨異形成症、発育機能障害 |
視 覚 障 が い | 先天的、または後天的に視力が低下 していたり、視野に制限のある状態 | 網膜色素変性症など |
知 的 障 が い | 知的機能の障がいにより認知能力が 全般的に遅れた水準にある状態 |
陸上競技のクラス分けを紹介
陸上競技のクラス分けの例を紹介します。
T53Cというのを目にした時、
T…①陸上競技種類
走競技・跳躍競技のクラスを意味する「T」、投てき競技のクラスを意味する「F」がある。
Tはトラックで、100mやマラソン、走り幅跳びなど。
Fはフィールドで、砲丸投げややり投げ、円盤投げなど。
5…②障害の種類
- 10番台:視覚に障がいのある立位競技者
- 20番台:知的に障がいのある立位競技者
- 30番台:痙性麻痺、筋強直、協調運動障がいなどの特徴を示す脳原性の麻痺のある立位競技者及び車椅子や投てき台を使用する競技者
- 40番台:低身長、脚長差、切断(義足未使用)、関節可動域制限、筋力低下等の障がいのある立位競技者
- 50番台:脚長差、切断、関節可動域制限、筋力低下等の障がいのある車椅子や投てき台を使用する競技者
- 60番台:競技に義足を装着して出場する競技者
3…③障害の程度
障がいの程度に応じて0~9の番号が割り当てられる。
基本的に番号が小さいほど障がいの程度は重くなります。
C…④クラス・ステータス
選手のクラス分け状況を示す。
- N : New : 過去クラス分けを受けた事がなく、競技前に受けなければならないもの
- R : Review : クラスが確定しておらず、再度クラス分けを受ける必要のあるもの
- C : Confirmed : クラスが確定したもの
パラリンピックの問題点とは?
パラリンピックのクラス分けは公平性を持つために必要不可欠なものですが、問題点もあります。
クラスの数も多くなってしまうことからメダルの価値も下がってしまうこと。
また、そうは言ってもメダル取得者とそうでない選手とでは雲泥の差となるので、クラス分けへの不満の訴えが多いこと。
以前、リオパラの前に水泳競技で「あの国の選手のクラスはもっと軽い」「うちの選手の障害は一段重い」などの訴えがあったことで、精度を高めたクラス分けが行われた。
それによって、障害が重くなったわけではないが、1つ重いクラスへと変わった選手はメダルを狙えるようになって喜びました。
ですが、軽いクラスになった選手は、強い選手と戦わなければいけなくなったため、複雑な思いを抱くことに、このことで引退してしまった選手もいました。
クラス分けは絶対に必要なものですが、まだまだ課題を抱えていることがわかりますね。
パラリンピックの楽しみ方
これまでパラリンピックを見たことがないという人も、絶対に楽しめることと思います。
これまで慣れ親しんでいる競技であっても、パラリンピックはルールが異なったりするので、新競技を見ている感覚で楽しむことができます。
また、障害を持っているとは思えないほどの競技レベルの高さには驚かされることでしょう。
オリンピックのトップの選手であっても、ルールのもと戦えば、パラ選手には勝てないほどなんです。
さらには、障害を身近に感じることができます。
選手の障害の歴史はさまざまですが、それは誰しもに起こり得ることだと思います。
ですが、そこから辛さを乗り越えて、競技に向き合うことができるかと言えば、ほとんどの人にはできないのではないでしょうか。
そういったパラアスリートの凄さも感じることができるので、ぜひともパラリンピックを見てみてほしいと思います。
パラリンピックのクラス分けとは?のまとめ
パラスポーツは、普段なかなか目にする機会がないものだと思います。
健常者のスポーツと違って、制限も多いので、気軽に取り組めるものではないですよね。
今までみたことがない人も、東京パラリンピックで競技を見て、その奥深さを感じてみてほしいと思います。
きっとパラスポーツの素晴らしさに気づけることでしょう。
コメント