2003年、36年間にわたって情熱を注いだ教員生活に、私は自ら終止符を打ちました。安定した道を捨て、先の見えない実業の世界へ。周囲からは「なぜ今さら」と心配の声も聞こえましたが、私の心は不思議と晴れやかでした。そこには、退職金でささやかな第二の人生を送るという選択肢はありませんでした。私には、どうしても成し遂げたい「志」があったのです。
灯台守2003年 嵐の船出:数十箱の段ボールが埋め尽くした、我が家の”船倉”
退職して間もなく、妻の知人であったH氏(環境科学社長)から「健康食品の事業をやってみないか」と声をかけられたのが、すべての始まりでした。彼はサプリメント企画の名人。その出会いが、私の人生を大きく動かすことになります。
ある日のことです。帰宅すると、我が家のマンションの一室が、足の踏み場もないほどの段ボール箱で埋め尽くされているではありませんか。唖然とする私に、妻が告げます。「Hさんと相談して、『ギャバ』の商品を作ってみたの」。これが、記念すべき当社オリジナル商品第一号「ギャバ太郎」が誕生した瞬間であり、私の船出を告げる、まさに”嵐”のような出来事でした。





右も左もわからぬまま、在庫の山を前に途方に暮れる日々。しかし、この時のH氏が企画してくれた「ギャバ」や「冬虫夏草」が、後に20年以上も会社を支えるメイン商品となるのですから、人生とは面白いものです。
2005年 恩師たちとの修行:ホテルの机で学んだ「商売の基礎」
2005年3月、(株)シンクのH社長のお力添えで、なんとかウェブショップ「ギャバ太郎ショップ」を開設したものの、商品は一向に売れません。来る日も来る日もパソコンの画面を眺め、在庫の山を見つめるばかり。そんな私に、M氏は新たな出会いの羅針盤を授けてくれました。



紹介されたU氏との待ち合わせ場所は、いつも豊中駅近くの老舗ホテルのラウンジでした。彼は私の悩みを聞くと、にっこり笑ってこう言いました。「加藤さん、売る前に、まずはお客さんに情報を届けることから始めましょう」。





この一言から始まったのが、私の事業の礎を築いた「千客万来プロジェクト」です。U氏の教えは、「商品を売るな、情報を売れ」。彼の指導のもと、2005年12月には楽天ブログで「百万人の健康道場」を開設。ひたすら健康に関する情報を発信し続ける日々が始まりました。それは、私にとって36年間の教員経験が活かせる、新たな「教育」の実践でもありました。


2006年 法人化と拡大:小さな船から「日本健食株式会社」へ
ブログを通じて少しずつお客様との信頼関係が生まれると、不思議なことに、あれほど売れなかった「ギャバ太郎」が、少しずつ売れ始めたのです。情報発信の大切さを肌で感じた瞬間でした。



そして2006年12月21日、ついに「日本健食株式会社」を設立。資本金200万円、自宅マンションの一室を本店とする、本当に小さな船出でした。しかし、私にとっては、30年間勤め上げた教員という港を離れ、自分の名前で漕ぎ出す、覚悟の船出でもありました。


その後、シンク社のH社長の助言もあり、楽天、Yahoo!、Amazonへと販路を拡大。多くのお客様に支えられ、小さな船は少しずつ、しかし確実に前進を続けていきました。


結び:82歳の今、新たな航海へ
創業から約20年。あの時、マンションの一室に山積みになっていた「ギャバ」と「冬虫夏草」は、今もなお日本健食のメイン商品として、多くのお客様に愛され続けています。これ以上の喜びはありません。



36年の教員生活で得た「心と体の健康」への想い。それを羅針盤に、実業という大海原へ漕ぎ出した私の航海は、多くの方々の温かいご支援と、幸運な出会いに恵まれました。
そして82歳になった今、私はこのブログという形で、自らの人生を「デジタルアーカイブ」として残すという、新たな航海を始めました。AIという新しい航海術も学びながら、生涯現役でこの羅針盤を動かし続けたいと思っています。



この記事を読んでくださったあなたが、もし人生の新たな一歩を踏み出そうとしているのなら。私のささやかな挑戦が、その背中をそっと押す一助となれば幸いです。



