近頃メディアでよく見聞きするようになったダイナミックプライシング。
よく見聞きするとはいえ、ダイナミックプライシングとはどのようなものなのかわからないという人も多いはずです。
昨今、さまざまな業種の企業が導入し始めているダイナミックプライシングについて、メリットやデメリット、導入企業などを紹介していきます。
1.ダイナミックプライシングとは?
では、ダイナミックプライシングとは一体なんなのでしょうか?
消費者の需要と供給に合わせて価格を変動させることをダイナミックプライシングと言います。
身近なところで言うと、ホテルや航空機の料金などがわかりやすいかと思います。
また、旅行などオンシーズンやオフシーズンで価格が違うのもダイナミックプライシングです。
以前は人が売り上げや顧客動向などさまざまなデータを元に価格を導き出していましたが、最近では、AIがこの仕事に変わっています。
では、AIを導入してまでダイナミックプライシングを行うメリットやデメリットはなんなのでしょうか?
2.ダイナミックプライシングのメリットは?
ダイナミックプライシングを導入するメリットは以下です。
2-1.収益を最大化することができる
企業として一番大事な収益を最大化することができます。
需要のある時には、価格をあげることで収益を高めることができますし、下がる時には、空席や空室などをなくすことでしっかりと収益をあげることができます。
ダイナミックプライシングを行うことで、繁忙期も閑散期もしっかりと一定価格よりも収益をあげることができるようになります。
2-2.在庫をしっかり管理できる
消費者の需要が少ない時にでも、価格を下げて売ることができるので、不要な在庫を抱えることをなくすことができます。
3.ダイナミックプライシングのデメリットは?
ダイナミックプライシングを導入することはメリットばかりではありません。
デメリットは以下です。
3-1.コストがかかる
すでに自社に開発できたり、AIに対して知見のある人材がいればコストはかかりません。
AIに関しては、まだまだ発展途上ですので、多くの企業は外注しなければいけないはず。
そうなると多額の費用がかかることになります。
3-2.突発的には対応できない
AIは、すでにわかっていることに対しては優れていますが、突発的なことにはまだまだ対応できません。
例えば、イベントが急遽中止になったとしても料金は高いままになってしまいます。
こちらに関しては、近い将来対応できるようになるでしょうが、今現在ではまだ対応できません。
3-3.消費者の不信が募る
日によって価格の代わるダイナミックプライシングですので、自分が買った時よりも価格が下がっているのを見ると損をした気分になってしまいます。
そうすると消費者は企業に対して不信感を持ってしまいますので、買ってもらえなくなるということもあります。
4.ダイナミックプライシングのアルゴリズム
アルゴリズムとは、簡単に言うと手順や計算方法のことを言います。
ダイナミックプライシングのアルゴリズムというのは、価格を決定するためのやり方のようなことです。
そのダイナミックプライシングのアルゴリズムには、大別して3つあります。
4-1.自動化
自動化は、既存の値付けルールをシステムで実現させたもので、一般的にルールベースと呼ばれています。
この利点は、比較的簡単に導入することができることです。
航空、ホテル、EC小売業界などが利用しています。
4-2.機械学習による予測
機械学習は、需要を仮定し、需要予測から最適な値付けをおこなうものです。
日付や曜日、天候や近隣イベントの有無など様々な変数をもとに需要を予測して、プライシングを行います。
現在のダイナミックプライシングの主流となっています。
4-3.強化学習
強化学習は、特定の状態などで、最も収益を上げる選択肢を、AIの経験から導き出す仕組みです。
収益最大化につながると期待されていますが、まだまだ不足している部分が多く、実用化は先になるでしょう。
5.ダイナミックプライシングを導入している企業は?
そんなダイナミックプライシングを導入している企業はさまざまあります。
5-1.USJ
ワンプライスがほとんどのテーマパーク業界で、USJがダイナミックプライシングを導入したことが話題となりました。
繁忙期には、身動きが取れないほど混雑してしまう、一方で閑散期には、来場者が非常に少なくなってしまいます。
そういった中で、できるだけ混雑を緩和し、収益を最大化するために導入したようです。
まだ、価格は3段階しかありませんが、これからさらに細かく変動していくことも考えているとのこと。
5-2.福岡ソフトバンクホークス
福岡ソフトバンクホークスもダイナミックプライシングを導入しています。
座席や人気カードの対戦試合・開催日時・当日の天候などによってチケットの価格を変動させているとのこと。
5-3.ローソン
また身近なところでいえば、ローソンがダイナミックプライシングを導入しています。
電子タグを使うことで、賞味期限の近いものを特定して値引きされた価格を表示することができます。
これによって、消費者の購入欲を促して、廃棄ロスを減らすことに繋がります。
6.ダイナミックプライシングの失敗例
導入すればメリットが多いと思われるダイナミックプライシングにも失敗例などがあります。
7.ダイナミックプライシングのまとめ
ダイナミックプライシングは、昔からある技術ですが、AIを導入することでこんなにもメリットを得ることができるんですね。
ダイナミックプライシングを導入すれば、間違いなく収益をあげることができると思うので、一考の価値はあると思います。
AIの技術は、これからさらに上がっていくと言えるので、導入する企業も増えていくことでしょう。
コメント